《君が代》考
東川清一先生の本によって、頭の中が掻き回される衝撃が、事前の期待を上回らなかったことなど、これまでに一度もないのですが、この本を手にとって読んで身震いしました。無上の幸福とは、こういう時間を言うのだろうと。
- 作者: 東川清一
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2007/01/26
- メディア: 単行本
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たとえば、出だしの2小節にしても、それはたしかに、レ―ド―レ―ミ―ソ―ミ―レと歌うのが自然かもしれませんが、調号のつき方によっては、あるいはそのときどきの前後関係によっては、ラ―ソ―ラ―シ―レ―シ―ラとも、ソ―ファ―ソ―ラ―ド―ラ―ソとも階名唱することができるのです。
手前味噌を承知で、どうしてもその欲望を抑えきれずに表現するなら、ここで展開されている非常に精緻な理論は、このページ上部に載せている表で僕が表現しようとしている五音の世界を、オーセンティックな側から探られ記述されているものであるように感じます。本当に嬉しい。長いこと、雑文を垂れ流しながら、ウェブサイトを続けてきてよかった。
今この日記を読まれているような、音楽理論に熱狂的な方々にとって、この本がエキサイティングでない理由など、ひとつもありません。是非手にとられてみて下さい。音階を中心に記述する手法は、和声的な表現を多用する自分が、これまで感覚で取り扱ってきた難しい対象を、列の認識を、まるで魔法のように手玉に取ります。おそらくこれから時間をかけて、内容の詳細について消化する努力をして、ここでは回数を分けて、徒然に書いていこうと思います。