雅楽入門(その1)
さて、まだ全部読んでもないし、宮内庁楽部による公演
http://www.ntj.jac.go.jp/cgi-bin/search.cgi?type=search&code=05020021
もまだ観てないけど*1、最近ここに何も書いてないし、興味深い記述満載なので備忘録しちゃおう。
なんだよまた、書評じゃなくて引用じゃねーかよ!というツッコミは、例の如く禁止である。
- 作者: 増本伎共子
- 出版社/メーカー: 音楽之友社
- 発売日: 2000/02/01
- メディア: 単行本
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雅楽の和音楽器といえば笙だが、我々にもわかりやすい言葉でズバズバッサリ鉈を振るってくれるこの本では
「クラスター」という語が、一時期、現代音楽のなかで頻繁に使われ、今にいたっている。雅楽における笙の合竹の効果が正にそれだ、などと言うつもりはさらさらないが、少なくともある種の共通性はもっているのではなかろうか?雅楽にかぎらず、東洋の宮廷音楽や宴饗の音楽などのなかに、ある共通の演出がある。すなわち、音の煙幕を張りめぐらすとでも言ったらよいだろうか…。あるいはインドの音楽において、器楽や歌唱の傍らで、終始、その曲の調子の主要音をドローンで通奏している習慣があるが、これなども、相通ずる演出の顕れではなかろうか?
などと素敵に解説されている。そんでじゃあどんな和声の考え方に基づいてんだよ?と、理屈屋は思うわけだが、その解説たるやエキサイティングだ。
さて、ここで便宜上、合竹を「和音」、その基となっている音のことを「根音」という言い方をしたが、これら「合竹」は決して西欧の「三和音」の理論の上に成り立っているものではない。それはむしろ、呂・律の音階の構成音から成っており(日本人好みの「みやこぶし音階」ではない点に注目)、さらにそれは、完全五度を外郭として、なかに長二度と完全四度、あるいは完全四度と長二度の組合せからなる「三音音階」*2のいろいろな積み重ねから成っているように思われる。
三音音階?三音音階だぜ!うおおお、sus4とかsus2とかには、ペンタトニックの筒的にも一言あるわけだぜ!
http://park11.wakwak.com/~ioxinari/less.html
Isus4やIVsus4、Vsus4(の転回形)ってば、最も原始的なモードでありかつ、各種の響きに共通するモードでもあり、「いろいろな積み重ね」を行うことによって、(呂や律を含む)上の階層のモードへと転移し、音楽に色がついてくのだ!
日本の音階とかいう文脈になると、ブイブイいわせてどこにでも登場するいわゆる「テトラコルド」とは、もちろん発想が全然違う。僕はアプリオリに三度積みが与えられる和声の枠組みはあんまり好みじゃないが、テトラコルドの足し算理論に魅力を感じないのも、皆さん既にご察しのとおりである。
と、さて、まったく内容のないままに引用と感想文(と宣伝)を羅列したわけだが、そんなとこ頭にちらほら泳がせながら、コンサートいってきまーす。
あ、レポートはきっと面倒くせーとかいって先送りになるでしょうから、今晩とか来訪されると肩透かしとなる可能性がありますです。はい。
でも近いうちまた書きますよー!書評の(その2)だって、マジメに書かなきゃだし。
そろそろかすかに、春の兆しですね。